No.06
名作上映にこだわりのある万屋町のセントラル劇場近くにあった「清風亭」。今は駐車場になっていますが、当時「長崎まちなか龍馬館」に再現されているような料亭がありました。
ここで行われたのが土佐藩主後藤象二郎と龍馬の会談です。後藤象二郎の叔父である、吉田東洋は龍馬も一時所属していた土佐勤王党の武市瑞山に暗殺されました。その繋がりから、同郷の龍馬と象二郎の間にも確執がありました。象二郎にとってもはや龍馬は敵だったのです。しかしながら先見の明があった象二郎は公武合体派。敵であれ龍馬と手を組むことがこの先絶対に得であると考えていました。そこで根回しです。
当時、龍馬の恋人と噂されていた丸山芸者のおもと。美人で気立てが良く琴や三味線、踊りがうまかったと言われています。清風亭のおかみはお茶の輸出で財をなした女傑、大浦慶。このころ長崎で一番美味しいと評されている料亭でした。象二郎は龍馬のお気に入りであったおもとを清風亭に呼び、龍馬と同席させました。おもとが二人の関係を修復させ、ここで歴史が動くのです。
龍馬は社中の資金調達を土佐商会へ依頼、象二郎は公武合体策の知恵を龍馬からもらいました。ここでの会談は後の大政奉還へと繋がっていくのですが、大政奉還策は龍馬が提案したものですがその手柄が世に出なかったのは象二郎が龍馬の功績を横取りしたとも言われています。
ちなみに後藤象二郎は日本で初めてルイ・ヴィトンで鞄を購入した人物と言われています。